俺はこの仕事に就くまで、音楽の情報を雑誌から得るという事がほとんど無かった。
いや、パンク以前はあったんだけど、
ヤングギターとかギターブックとか(笑)。
ディープパープルとさだまさしの世界ですな。
自分史のパンク前夜ぐらいからは、
ラジオと友人からの貸し出しとレコード屋、これが全てになった。
で、音楽への能書きが一切無かった。
決定的に情報量が少なかった。
音だけがあって、それで好きか嫌いか。
この世界での最初の仕事は、音楽雑誌への宣伝だったから、
その過程で、当時自分が好きだったり、嫌いだったりした音楽が、
どういうふうに評価されたりしてたかっていう事を後から知って、
凄く新鮮だった。
で、これ凄く前置きが長かったんだけど、
今日、ampmのエンターティメントコンビニ(?)で買ったある音楽誌をぱらぱらと読んでたら、
アークティックモンキーズの評価がもの凄く高くて、
まぁ、それ自体は当たり前なんだけど、
その評価ってのは、もの凄いへ理屈で、
活字の媒体だから、しょうがないじゃん、て考え方もあるけど、
なんだか凄く的はずれだから、
褒めてるんだけど、的はずれだから、
なんだかげんなりしちゃった。
俺の周りの音楽素人たちの中で、ただなんの先入観もなくこのバンドに接した人達は例外なく大好きになってる。
別にロックンロール好きでもない人の、
掃除のBGMとして、お料理のBGMとして、ドライブのBGMとして、活躍してる。
いらぬヘリクツが、そんな拡がりに水を差してるような気がしちゃった。
日本からもこんなバンドが出てきて、ヒットチャートをにぎわしたら、、って俺なんか思っちゃうからさ。
ブレのないパルス感優先のビートで飽和してしまったマーケットに、
ルースでオーガニックなビートの音楽が切り込んで大ヒットを生み始めてる。
ジャンル関係なくね。
それは、音楽を仕事にしている人以外は意識して聴いてる訳ではなくて、
ただ、ただ、06→07の今聴いて、気持ちいいかどうか、っていうだけの話でしょ。
理屈と一緒に聴けば聴くほど、
それを感じる事が出来なくなっていく。
じゃまじゃない??
ストレートに感じたいと思うんだ。
仕事的な観点で言えば、
アークティックモンキーズはバンドももちろん良いけれど、
プロデュースも凄い。
例えば、パンクの象徴ピストルズのアルバムはクリストーマスによる、
かなり整理されたサウンドだ。
だからこそ歴史に残る作品になった。
あの時代にパンクなるものを提示するためにあのサウンドなんだ。
アーク〜のアルバムも敢えてこのビート、このサウンドなんだ。
前に書いたけど、
ティンバランドがネリーファータードでやろうとした事と、
このアルバムにプロデューサーが込めようとした要素ってのは同じものなんだよね。
今、ぜったいルースでオーガニックなビートが新しくてカッコイイはずだ。
じゃ、それを具体的にやるとどうなるんだろう?
ってのが、ジャンルも方法論も全く違うけど、
それぞれのプロデュースのテーマでしょ?
だから、俺は、
このアルバムは、R&Bなんかの最新ヒット曲と同じ土俵で勝負してる音楽だと思ってるんだ。
うむ、俺こそ職業病か?
話戻すと、
職業病じゃない人に、このアルバムをプッシュするとしたら、
理屈じゃなくて、
サウンドそのものを聴かせるだけでいいんじゃない?
聴く側は、
ただただ、うん、なんだか気持ちいい、って事だけでいいんだよ。
(くま)